2006.8.30〜9.1(3日間) 
大峰・奥駈け3日間 
 
有志のみの5人会
生駒駅
快速急行
西大寺 橿原神宮前 大和上市 バス
バス
和佐又登山口 和佐又登山口まで
830円+1,480円=2,310円
7:23 7:31〜7:37 8:19〜8:30 9:19 9:55 11:32
2004年に世界遺産に登録された「大峰奥駈道」の吉野から熊野に至る大峰山脈!
役小角が駈け廻って開山したという修験道、1300年の歴史の道!
今般、羽田野氏のお誘いでその内の和佐又山から吉野まで有志5名、3日間で歩いた。
《1日目》2006.8.30(木)・・・くもり・・・和佐又山(1344m)登山
8:19
橿原神宮前駅に到着して構内のコンビニで弁当を買い、吉野行のホームへ行くとすでに阿倍野からの電車が着いていた。羽田野氏の出迎えを受けて乗車。
メンバーは羽田野・小林・杉山・古谷・漫歩マンの5名。
9:16
電車は大和上市駅に着く。バスの時間をしばらく待つ。

大和上市駅でバス待ち
9:55 湯盛温泉行のバスに乗る。(950円)
10:30 バスは吉野川をドンドン遡り約35分、途中大きな大滝ダムを眼下に湯盛温泉杉の湯着。

左のバスから右のバスへ乗り換え

標識に熊野大台ケ原とある(バス停から)

バス停眼下の吉野川
我々の行き先は和佐又山でまだ先だがここで一旦降車して20分待ち、別のバスに乗り継ぎとなる。
10:54 和佐又方面行のバスに乗り継ぎ発車。(バス賃530円)
我々以外には地元のおばさん数人。
途中で降りたおばさん、手元に入れ歯ケースを大事そうに持っていた。歯医者で診てもらっての帰りかな?バスの運転手が何か「券を持っているか?」と言うような問いかけをしていた。後で分かったが65才以上の地元の人はその証明する券があればバス賃は半額なのだ。
トンネルをいくつも通過する。その内のひとつはトンネルが2階建てだと運転手が説明してくれた。自動車は2階を走り、1階はトンネル工事や電気工事の人が歩くとのこと。2階の道路の中央列には空気穴が連なっていた。
11:35 和佐又口到着。
バス停からヒュッテまでの自動車道を歩いて登る約1時間。暑い!シンドイ!坂道はどこも辛いがコンクリート道は特に辛い。
もうシーズンは終わったのか、歩いているのはもちろん我々のみ。乗用車が1〜2台と郵便屋さんのバイクが通った。
12:35 和佐又ヒュッテ着。
ヒュッテの少し手前には犬小屋があり2匹の犬が人恋しそうにキュンキュン啼いて出迎えてくれる。
ヒュッテでしばらく休憩、昼食。気温22℃、涼しい。下界の人間は暑いだろうなあと何となく優越感に浸る。
ヒュッテ前の広場には一人だけテントを張っている山気違いがいた。
13:30
ヒュッテから登山開始。

ヒュッテ前の広場の標識

山頂 1,344m
ヒュッテから山に向かって左手から登る。林の中をユックリ歩いて約15分、山頂(1,344m)に着く。
13:45 和佐又山頂(1,344m)着。
下りは時計周りで山を一周する感じでスキー場を通ってヒュッテに帰り着く。
ゲレンデはそろそろススキの時期を迎えようとしている。

ゲレンデのススキ

スキー場脇にある修行僧の歌碑
14:30 ヒュッテに着く。
収容能力は200人。泊まりは誰もいないので好きなところで寝てくれと。
夕食までのたっぷりとある時間を雑談で過ごす。
4時頃雨が降ってきた。明日の天気は大丈夫か?
「お風呂に入れますよ」との案内で一番にお風呂に飛び込む。檜造りの数人は入れる立派なお風呂だ。
17:00
夕食。
食後早々にベッドイン。後から一組の泊り客が来た。
本日の総歩行数:17,270歩、歩行距離:平地換算約12Km。
《2日目》2006.8.31(金)・・・はれ・・・和佐又から大普賢(1,779.9m)そして山上ケ岳(1,719.2)
5:00 起床。気温15℃。
6:00 朝食。管理人さんはいない。朝メシはテーブルの上に用意されているし、お昼の弁当も置かれてあった。
7:05 ヒュッテをスタート。

朝の和佐又山

目指すは大普賢1,779.9m
30分ほどで「笙の窟」と「無双洞から七曜岳」への分かれ道を見て、我々は「笙の窟」方面をとる。
岩場、ハシゴ場を1時間も歩くとシタンの窟・朝日窟・笙の窟・鷲の窟等々窟の連続。
垂直の崖下で役の行者が冬篭りしたといわれる修行場の数々。
8:10 笙の窟では今朝から登り始めた一組の夫婦連れが先着していた。

この絶壁の下が窟

窟の役の行者と前鬼・後鬼

笙の窟から弥山・八経ケ岳を望む
小林氏、「すばらしい、すばらしい、山はいい」の連発。
夫婦連れに「お先に・・・」と先にスタートして約1時間。この間、ハシゴ多し。汗だくだく。

鉄製のハシゴの連続
9:28 目的の大普賢岳(1,779.9m)に到着。
周りを見回すと遠くに大台ケ原・八経ケ岳・弥山・稲村ケ岳・大日岳が目に入る。
小林氏ならずとも「すばらしい」。
しばらくするとあの夫婦連れがやってきた。彼らはこれから無双洞の方へ廻ってヒュッテへバックするという。
10:00 すばらしい眺望の大普賢の頂上を後にして次なる目標、山上ケ岳を目指す。
ガレ場多し、歩きにくい、足元に注意しながら下る。
トリカブトの花がところどころに咲いている。

トリカブト
12:00 あみだが森を経て、小篠根本道場に至る。

その間苔むした道に足元を気をつけながらいくつかの宿跡を見る。
下の写真の「第64行所脇宿跡」とある「行所」とは
“吉野から熊野へ至る大峰には、行者たちのために75ケ所の霊場があり、俗に大峰75靡(ナビキ)と呼ばれている。”とのことでその75の行場に宿があったそうだ。
小林氏「一週間くらいこんなところで過ごしたいなあ」と。

脇宿を過ぎるとすぐ、聖域なる「女人結界門」。
「女人結界」についてはいくつか説があるそうだ。
“修行で険しい岩山を登り、狭い岩場を巡ると女性の陣痛に似た苦しみを経験する。母が自分を産んでくれるまでの苦痛や、妻が自分の子供を産むまでの大変さを実感して、自然に感謝の気持ちに溢れ、素直な自分を見出す。西の覗きでは身も縮むような恐怖を味わうが、そんな時、身近に女性がいると素直になれない、見栄を張って強がるから女性がそばにいることを禁じた。”とか。

“山で生きることは危険と背中合わせでした。深い山に入れば、収穫もありますが山犬と呼ばれる狼に襲われることもある。月々の生理がある女性がひとつの集団の中にいると血の匂いで襲われやすいという。その危険を廃し、女性を休めるために麓へ留めておくということから女人禁制がはじまったのではないか。
女性が絶対に通ってはいけないというのではなく、嫁越峠と呼ばれるように嫁入りや火急の時には通ることができる抜け道も用意してあるのだそうだ。それが宗教などと結びついて女人禁制ができた。”
とか。

結界門をくぐり、50分ほどで小篠根本道場。
この横には水場があり古谷氏がうまそうに飲んでいる。オイラも飲んだ。なんとうまいのことよ。

第64行所脇宿跡

女人結界門

小篠根本道場
12:45 山上が岳、大峰山寺本堂着。
本堂は日本で一番高い所にある木造建築物で、国重要文化財である。
本堂中央には金剛蔵王権現、右側に役行者像がニ体祀られている。

重量感ある大峰山寺本堂

山頂
13:10 本堂にお参りして山頂経由宿坊5軒の内の「龍泉寺」に泊まる。
ここの気温17℃。涼しい。宿泊客は我々のみ。

羽田野氏お風呂にはいつ入れるかと聞けばいいものを上品に「浴びられますか?」と聞いたもんだから、おじさん 行場のことと勘違いしたのか「明日なら案内しますよ」と。
誰かが単刀直入に風呂はいつ入れるかと聞いた、 宿坊のおじさん「電気がついたら・・・」と。
みな、「???」。 お風呂は自家発電で沸かしているのか?
道理でメシも薪で炊いている。

龍泉寺宿坊

メシはカマドで
4時頃お風呂が出来たとの声あり。
今日も一番に杉山氏と入る。杉山氏、石鹸までご持参だ。
16:50 夕食。
ビールを頼むと1本500円。気温17℃で涼しいのに500円と聞いてさらに寒くなる、1本でガマン。
メインディッシュは椎茸1個と昆布巻き1個と高野豆腐3個の煮付け。それに昆布の佃煮、大豆の煮豆が小皿に少々と味噌汁のみ。
腹は減っているのにおかずはこれだけ! メシを一口ごとに煮豆を一粒づつ箸でつまむ。
正に精進料理。・・・でも子供の頃の昔はこんな食事だったなあ、と思い返す。

今では夕食時には第3とはいえビールや焼酎の飲み放題、煮豆なぞ出てくるものならスプーンですくって食っている。
「食」の原点を教えてもらった。・・・ありがたや、ありがたや。
これなら肥満・糖尿病・痛風とか心配しなくていい。
21:00 夕食後はすること無いのですぐに寝た。9時頃には雨が降り出してきた。
大峰は年間の降水量が4000mmを超え、特に6月から9月の夏季に多いとか。
本日の総歩行数:24,495歩、歩行距離:約5Km。
《3日目》2006.9.1(土)・・・大雨・・・山上ケ岳から青根ケ峰(857.9)をへて吉野へ28km。
5:00 起床。
一晩中雨が降っていた。
朝食も昨日の精進料理と同じ。違うのは煮豆のかわりに味付け海苔

食後、古谷氏が名刺を出してここにみなの名前を書けという。宿坊に貼るらしい。天井には所狭しと千社札が貼られている。

高野豆腐・昆布の佃煮・海苔・味噌汁

宿坊の天井
6:45 雨の中、宿坊をスタート。宿のおじさん、「気をつけて・・・」と言ってくれるが前途が思いやられる。

雨のスタート
目指すは青根ケ峰(857.9)。全体的には高度差約900mを下るとはいえ行程28kmの山のこと、大雨の中でアップダウンをいくつも繰り返す苦しさ。
9:08 女人結界門を出る。
なんだかみんな顔つきが変わって「さあ、やるぞ!」というような感じ。何をやるのかな?

女人結界門

「さあ、やるぞ!」
雨は小止みだと思いきや、それは一時のこと。ザアザア降る中、ガレ道・岩道・ハシゴ道・クサリ道。
初めの頃はスパッツに靴カバーのお陰でそれなりに歩けていたが、いくつもいくつも渡る沢のお陰で靴の中は水浸し。
沢をよけて巻く道は土がぬかるんで誰かさんスッテーン。
苦行、苦行の連続。
12:15
13:15
13:38
新茶屋跡。
青根ケ峰(857.9m)。
金峯神社。

青根ケ峰(857.9m)

金峯神社

隠れ塔案内板
神社境内左手の道を下がった所にある塔は、文治1(1185)11月、義経がこの塔に隠れ逃れるため屋根を蹴破って外へ出たため「義経の隠れ塔、蹴抜の塔」といわれる。
ようやく雨が止んだ。
神社の手前の休憩所で濡れ装束を着替える。スカッと気持ちいい。
ここからコンクリート道を下る。
途中街を歩いていると羽田野氏、人恋しいのか誰かれなく声を掛ける。女人結界から初めての若奥さんには特に話が長い。
もともと吉野美人なのに女人結界から出てきたのでよけいに美人に見えるとか・・・。
15:08 蔵王堂。

蔵王堂

山門阿像

山門吽像
15:35 吉野駅着。
ちょうど15:38発の急行電車が待っていてくれたので、飲みたいビールもなしですぐ乗車。
橿原神宮前駅で阿部野橋行の皆さんとお別れ、
17:45 自宅には17:45に帰着した。お疲れさんでした。
本日の総歩行数:39,601歩、歩行距離:平地換算約28Km。
羽田野様ほか皆様、3日間のご案内とお付き合いをどうもありがとうございました。
紀伊半島を貫く大峰山脈、登山の醍醐味を味わいました。
思い出はなんといっても大雨の中の行軍。加えて精進料理。
大峰・奥駈の続編が楽しみです。脚力に不安の無い方、この苦しみと楽しみを分かち合いましょう!ありがとうございました。